ベトナム牡蠣は“あたるのか?”

ハッキシ言って“あたります”…これは今回の訪越で確信に至りました。

今月3日から6日までベトナムハノイへ出張して参りました。訪越目的は来年度カン喜にお越しいただく技能実習生との面談、売上の柱である“殻付かきグラタン”の牡蠣殻調達交渉、そして現地輸入商社とのカン喜製品の商談でした。

ベトナムと牡蠣

ベトナムは19世紀フランスの植民地であったこともあり、その食文化は強くフランスの影響を受けてます。フランス人は牡蠣が大好きですからね。

ところが牡蠣食の王道である“生食用牡蠣”はローカル・チープなレストランでは見当たらず、そこで見たのは熱処理したスープの具材とかそんなもの。

生食牡蠣は富裕層向レストランで供されているのが一般的だとか。10年以上前、初めて訪れたハノイで連れられた高級ベトナム料理のレストランが記憶に甦りました。

生牡蠣をオーダーしておきながら、食べるのを忌避した同行のベトナム人を見て、とてもリスキーとは思ったのですが、そこは初対面とは言え、今後長きに亘るパートナーとなるのです。ここはお互いに我慢して食べることにしたのです。翌日、そのベトナム人が“セーフでした”と笑顔満面だったのが印象に残っております。因みに、彼は今カン喜ハノイの代理店の代表者です。小生も幸運にも問題は無かったのですが…ローカル牡蠣の生食はあたる確率の高いロシアンルーレットみたいなものですね。これは何もベトナムに限ったことではないですが。

 

生産地の視察(ハロン湾周辺)

牡蠣殻調達交渉とは、つまり現地の牡蠣生産者との商談を意味するので、現地の牡蠣生産プロセスが嫌でも視界に入ってくるというか、思いっきり視察してしまいました。見たくなかったけど…そこで冒頭の“確信”に至るのである。

観光地として世界的に有名なハロン湾海域は無数の川の水(淡水)が湾へ入り込む所謂、リアス式海岸である。日本の三陸、英虞湾、広島同様に牡蠣の生息、養殖に適した海域なのである。そこまでは良い、そこまでは…

一部外気に晒された作業場の気温(30℃超え)、東南アジアの海水温(高い)、ノロウィルスが好む生活環境が至近、そして脆弱なコールドチェーン…これらが牡蠣の安全衛生リスクを高めているのである。原料入荷より出荷まで全工程に亘り、冷蔵以下の低温に保たれている日本の流通とは格段に違うのである。勿論、現地もそれは弁えており、事業オーナーは品質安全レベルの向上を図りハード面への投資を積極化している。そのための新工場も視察してきた。

だから、日本の牡蠣が欲しいのね

昨今、中間層以上のベトナム人は生食の牡蠣を熱望している。そして、“あたらない”安全な牡蠣でないとダメというわけで、日本の牡蠣へのニードが高いのである。

最終日に商談した現地ローカル商社のマネージャー曰く、日本の生食用牡蠣のベトナム国内市場は年間100tを超えるとのことである。実際、高齢化と労働力不足に喘ぐ我が国の牡蠣漁師が日本国内需要以外にベトナム一国のみでそれだけの量を供給できるのは難しい。

今回、我々が提案した“ノロウィルス検査済岡山邑久産牡蠣”のクオリティに現地の担当者は腰を抜かしてましたわ。また、今年は特に実入りがごっつうええ感じになってますから。見てください。このマーベラスなオイスターミートを!

先方から“毎月5tください”と言われましたが、手元に2tしかないと応え、残念ながら破談となってしまいました。

でも、日本のカン喜ファンにとってはラッキーです。このミートが今秋以降、カン喜ウェブサイトで買えるのですから!

 ベトナム料理もええですよ

あたるじゃ何じゃと言いましたが、生食用牡蠣以外のベトナム料理は秀逸です。フォーのスープ、ベトナム焼肉のたれはオリジナリティがあり、すごくおいしいです。

かにの揚げ春巻きはベトナムに行くたびに必ず食べます。カン喜のグラタンによく似た“ホタテグラタン”も悪くはない。少しマヨネーズ感が強いかな。当然ですが、当社グラタンには及びません。

パクチーなど一部嗜好性の強いシーズニングもありますが、総じてベトナム料理は日本人の舌に親和性があると思います。でも、牡蠣は言うに及ばず生食は避けた方が良いと思います。

ウエサカ ヨウタロウ